東北地方における医学部新設に係る構想審査結果:文部科学省
東北地方における医学部設置に係る構想審査会は、東北地方に特例として新設が認められる医学部について、応募のあった構想のうち、東北薬科大学(私立)が主体とした「
東北医科薬科大学」が最も適切であるとして選定することを公表しました。
東北医科薬科大学構想は、おおむね基本方針にかなっているものとして審査会で選定されましたが、正式に国から設置認可が行われるためには、
1 選定後速やかに、宮城県を初めとする東北各県・各大学、関連教育病院、地元医療関係者等の協力の下で、運営協議会(仮)を立ち上げ、自治医科大学等の先行事例も参考に、教員等の確保や地域定着策を初めとした、構想の実現・充実のために必要な協議を開始すること。また開学後は、将来にわたり、復興のための医学部設置という趣旨に基づいた医学部運営がなされているかを担保し、各地域のニーズを踏まえた人材育成を行っていくための仕組みとして活用していくこと
2 上記協議会の活用等により、東北大学を初めとする既存の大学との教育面、卒後の医師確保における役割分担と連携を整理し、東北6県全体の医師偏在解消につなげる枠組みを確立し、仙台への医師の集中とならないようにすること
3 東北地方の各地域の医療機関と連携した教育について、医療現場の負担が過重とならないことや、異なる実習場所でも同じ目的のもとで教育効果が上げられるよう配慮しつつ、早期体験実習から卒前・卒後を通じ、「地域全体で医師を育てる」という観点から、総合診療医養成に積極的に取り組むこと。その際、こうした教育及び教育設計に卓越した指導力を有する教員・指導医を確保し、仙台以外の宮城県各地(例えば医師不足に悩む宮城県北部等)、東北各地域において滞在型の教育もできるよう体制や環境を整備していくこと
4 教員や医師、看護師等の確保について、公募を行うに当たり、地域医療に支障を来さないことを担保する具体的な基準や指針を定めて対応すること。看護師の確保についても具体的な方策(年次計画、採用方法、採用後の育成方法等)を示すこと。附属病院の拡張整備に当たっても、県当局と相談の上、地域医療に支障を来すことなく進めること
5 医師の東北地方への定着を促す修学資金の仕組みについて、宮城県等と制度の詳細について精査し、単に東北地方に残るようにするのではなく、地域偏在の解消に対してより実効性が高く、かつ持続可能な仕組みとした上で、東北各県と十分な調整を行うこと。かつ、修学資金だけでなく、入学者選抜から学部教育、卒後研修を見通した定着策の充実に取り組み続けること
6 入学定員について、開学当初の教育環境の確保、地域定着策の有効性といった観点から適切な規模となるよう見直しを行うこと(例えば、臨時定員20名を設定せず、100名の定員で開学すること、学費全額相当の奨学金対象人数を増やすこと等)。また、将来的に、全国の大学において定員調整を行うこととなった場合には、他の大学と協調して対応すること
7 上記のほか、本審査会において、意見・要望(構想の実施に当たり参酌すべき意見:省略)があったことを可能な限り採り入れ、東北地方における医学部新設の趣旨によりふさわしい大学とするよう努めること
の各項目が適切に対応できていると認められることが条件となります。
東北薬科大は、来年3月の大学設置・学校法人審議会への設置認可申請に向け、医学部設置準備委員会から医学部設置準備室に移行し作業を加速させる見通しで、国立病院機構仙台医療センターや東北労災病院などの臨床実習などで協力を仰ぐ機関との協議も今後本格化させるということです。
新設の医学部は平成28年4月に開学予定で、認可されれば昭和54年の琉球大以来37年ぶりとなります。