平成25年度子どもの読書と学力調査:福島教委
福島県教育委員会では、平成16年から子供の読書活動に関する調査を行っており、その結果を公表しています。それによりますと、読書が好きだという児童・生徒の方が全国学力テストの得点が高い傾向があることがわかりました。
【「読書が好きですか」という問いに対して、全国学力テストの平均正答率を100としたときの各グループの正答率】(平成25年11月調査)
[小学生](72,393人)
国語A:主として知識を問う問題
算数A:主として知識を問う問題
国語B:主として活用する力を問う問題
算数B:主として活用する力を問う問題
[中学生](27、138人)
国語A:主として知識を問う問題
算数A:主として知識を問う問題
国語B:主として活用する力を問う問題
数学B:主として活用する力を問う問題
上の図の通り、小学生・中学生ともに、読書が好きであるほど学力が高い傾向があることがわかります。そして、はっきりと「読書が好き」であるグループのみが平均正答率を上回っていることも共通しています。これは、「子どもの読書活動は、子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く考えるなど、生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものである」とする福島県教育委員会の考えを、学力の面からも肯定しているように思えます。
しかしながら、意外なことに、次に示すデータを見ますと、本をたくさん読めば学力が高くなるというわけではなさそうです。
【一か月の読書冊数と全国学力テストの平均正答率を100としたときの正答率】(平成25年11月調査)
[小学生](72,393人)
国語A:主として知識を問う問題
算数A:主として知識を問う問題
国語B:主として活用する力を問う問題
算数B:主として活用する力を問う問題
[中学生](27、138人)
国語A:主として知識を問う問題
数学A:主として知識を問う問題
国語B:主として活用する力を問う問題
数学B:主として活用する力を問う問題
上の図の見ると、月に11冊以上読む児童・生徒は小学生の活用力を問う問題に関してかろうじて最高の平均正解率となっているものの、全体的に一番学力が高いという結果になっていません。小学生ではまだ高いレベルであるといえますが、中学生ではむしろ低いレベルにとどまっています。
この原因は様々でしょうが、本を読むための時間が、学習の時間を圧迫してしまっているのかもしれません。この傾向が小学生よりも中学生に顕著なのは、小学生が読む本のボリュームと、中学生が読む本のボリュームに差があるため、小学生が11冊以上読む時間に比べて、中学生が11冊以上読む時間の方が長いからではないかと考えられます。
実際にはどんな本を読んでいるかという問題もあり簡単に結論付けることはできませんが、このデータを見る限り、読む本を厳選し、月に5~10冊程度に抑え、学習する時間を確保することが大切なのではないかと思われます。
ただし、読書が好きという自発的な気持ちを持つ児童・生徒の学力が高いことも事実であり、あまり差の出ない小学生のうちは読書に関しておおらかに接し、読書から得た知識などをうまく学習へつなげさせることができるよう導いてあげることが必要なのでしょう。