スマホと学習
内閣府が調査したところによりますと、スマートフォンの所持率が小学生で16.3%、中学生で49.6%、高校生にいたっては83.4%に及んでいるということです。
特に、中学生では、2011年度で5.4%だったのが、2012年度で25.3%、2013年度では49.6%と大幅に増加しています。
劇的に普及するスマホに対して、学校や教育委員会などで犯罪や学習環境悪化を懸念する声が大きくなっており、これまで生徒の自習性を重んじていた学校でさえ授業中の使用やLINEなどでの誹謗中傷が問題化しており、生徒の自主性と自由をとるか、これ以上悪化させないように規制をする方をとるか対応に苦慮しています。
生徒の自由と自立を重んじるため、校則が不成文である私立高校の名門校灘校(中学高校)では、授業中にLINEをする生徒が現れたことを受け、学校は生徒会に指示し、生徒自身でスマホの使い方を改善するよう議論させました。全校集会での議論の結果、
・授業中は電源を切り、使用が発覚したら教師が没収
・没収したスマホは保護者に返却する
というルールを決めました。
同様に自立した人材の育成を目指し、校則そのものを定めていない武蔵中学高等学校でも、スマホを授業中に使用するなどの問題が顕在化してきたため、中学校では授業中は電源を切った状態でロッカーにしまわせ、高校生には適正使用を促しています。
学習環境の悪化については、昨年行われた全国学力テストにおいて京都府教育委員会が調査したところ、スマホや携帯電話の使用頻度が高いほど点数が低いという結果が出ています。
京都府教育委員会の調査によりますと、もっともその傾向が高かったのは中3の知識の活用力を見る数学Bで、成績順に4等分したグループ別にみますと、携帯電話やスマホで通話やメールをほぼ毎日すると調査に答えた生徒が、最上位のグループで35.9%だったのに対して、最下位のグループでは15.8ポイントも上昇して51.7%でした。中3の数学Bに限らず、中3国語A・B、小6算数A・Bも、成績が下位のグループの方が最上位のグループの割合より2ポイントから13ポイント高くなっています。
京都府教育委員会は、京都府の児童・生徒のスマホや携帯電話の使用頻度が全国平均を上回っていることもあり、適正な使用を呼びかけています。
また、刈谷市では地域全体で携帯電話やスマートフォンに関するルールを作り、平成26年度4月から市内の小中学校で実施するよう呼びかけを行いました。ルールの内容は、
1、子どもに安易に携帯電話やスマートフォンを待たせない
2、契約時に親子で約束をし、有害サイトの閲覧制限(フィルタリングサービス)をする
3、午後9時以降は保護者が携帯電話やスマートフォンを預かる
というものであり、地域ぐるみの取り組みに全国から注目が集まっています。
携帯電話やスマートフォンの過使用に不安を感じている保護者にとっては子供に言い聞かせやすくなり、(けしてよいことと思ってやっているわけではなく)付き合いでだらだらと使用してしまう子供たちにとっても、使用しないための大義名分が立つということで歓迎の意見が出ています。
刈谷市によりますと、生活環境改善に役だったという意見が寄せられているということですが、一方でそのルールを守らない児童・生徒に対してどう浸透させるか課題となりそうです。